老化の原因？「酸化ストレス」が関与する病気と抗酸化作用のある近年注目の「生活習慣」とは

2025年7月22日

「酸化ストレス」という言葉を聞いたことがありますか？これは、体内で発生する「活性酸素（フリーラジカル）」が、必要以上に増えすぎた状態を言います。

この酸化ストレス、実は私たちの健康にとても深い影響を及ぼしていることが、最近の研究で次々と明らかになってきています。

今回は、酸化ストレスが由来する病気についての紹介と、近年、世界の最新研究で注目を浴びるある「抗酸化作用」のある生活習慣についてご紹介したいと思います！

酸化ストレスとは？[1]

生活習慣の乱れが引き起こす酸化ストレス

人をはじめとする動物は、生きるのに必要な生命エネルギーを生成するために、常に栄養素を燃やす「酸化」反応を起こしています。

この酸化反応により活性酸素が複数種生成されますが、この中には、体に必要なものもあれば、細胞を傷つける作用を持った強い毒性を持った物質が含まれています。

通常は抗酸化能の働きで、こういった活性酸素を除去する働きがありますが、生活習慣の乱れなどにより抗酸化能が追い付かない状態になることがあります。

この状態を「酸化ストレス」がたまった状態と言います。

酸化ストレスを引き起こす原因はなにか？

酸化ストレスがたまる原因には、以下の要因によるものがあると言われています。

病気由来：虚血や心理的・肉体的ストレス
生活由来：紫外線や放射線・大気汚染・タバコ・薬剤・金属・酸化された食べものなどをとる等
過度な運動

酸化ストレスが関与するとされる病気

酸化ストレスが影響すると言われる疾患は数多く。以下にその一部を箇条書きします。

🔬 1. 循環器系疾患 (心血管疾病)

動脈硬化・心筋梗塞・高血圧：酸化LDL（酸化されたLDLコレステロール）が血管壁に蓄積・炎症反応を誘発[2]
虚血再灌流障害（例：脳卒中、心筋梗塞後）：再灌流時に生じる活性酸素が組織を傷害[3]

🧬 2. 糖尿病・代謝疾患

2 型糖尿病：高血糖によるミトコンドリアのROS産生がインスリン抵抗性に関与[4]
メタボリック症候群：肥満・脂質異常症・高血圧いずれも酸化ストレスと関係深い[2]

🧠 3. 神経変性疾患・精神疾患

アルツハイマー病：脳内でのDNA損傷・ミトコンドリア障害・アミロイドβ蓄積が酸化ストレスを引き起こす[5]
パーキンソン病・ALS・多発性硬化症など：神経細胞に対する酸化的障害が進行因子[6]
うつ病・統合失調症：酸化ストレス・炎症反応との関連が報告されている[7]

🦷 4. がん（悪性腫瘍）

多数のがん種（胃がん、肺がん、肝がん、乳がんなど）：酸化ストレスによるDNA損傷ががん化の引き金に[8]

🌬 5. 呼吸器疾患

COPD・喘息：大気汚染・喫煙により過剰なROSが気道を傷害し、慢性炎症を促進[2]

🦴 6. 炎症性・免疫疾患

関節リウマチ・SLE（全身性エリテマトーデス）：慢性炎症に伴う酸化ストレスの蓄積[9]

🫁 7. 腎疾患

慢性腎疾患（CKD）：腎組織の酸化的損傷による進行[8]

👁 8. その他（皮膚・生殖・老化）

皮膚では：しわ・シミ・乾癬・アトピー などに光老化・炎症の要因として酸化ストレスが関与[4]
不妊症にも酸化ストレスが卵子や精子の質低下に影響
老化そのもの：細胞の酸化的損傷が加齢と共に蓄積される[10]

酸化ストレスを防ぐ！「抗酸化作用」をもつ生活習慣とは？

従来、推奨されてきた方法[11]

酸化ストレスを減らすためには、「抗酸化作用」を持つ生活習慣がカギになります。

ビタミンA・C・E、コエンザイムQやポリフェノールなどの抗酸化栄養素を含む食事
質の良い睡眠・適度な運動・ストレス管理
タバコ・過度な飲酒・加工食品を控えること

体内の酵素の働きは年齢とともに低下します。酵素の原材料である肉、魚、卵、大豆製品などたんぱく質や亜鉛、マグネシウムなどミネラルを補います。

抗酸化物質は野菜、果物に多く含まれるので、サラダ、100％ジュース、スープ、煮物、炒め物など野菜や果物を使った料理を毎食1～2皿とり入れます。

近年注目の「生活習慣」とは？

活性酸素の中でも特に毒性が高い物質に「ヒドロキシルラジカル」や「ペルオキシナイトライト」があります。

2007年、日本医科大学の太田成男教授グループは、「分子状水素（H2：以下「水素」という）」が酸化力の強い活性酸素のみを消去し、酸化ストレスから細胞を保護する驚きの効果がある研究論文[12]を公表しました。

つまり、「水素」は、

毒性の強い活性酸素（ヒドロキシルラジカルなど）だけを除去
必要な活性酸素（免疫や代謝に必要）は残してくれる

という非常に注目すべき働きを持った抗酸化物質なのです。

その後、水素の医療に関する論文は、現在に至るまで3,000報以上報告され、研究と国の承認を受けるプロセスを進めています

では、どのような水素摂取に関する「生活習慣」と、各疾患に関連していくのでしょうか。

ヒトへの治験が進む水素医療

心停止後蘇生 × 水素吸入

水素医療の中でも最も有名であり、実際に日本が世界に先駆けて「先進医療b」まで承認プロセスを進めた事例です。

慶応義塾大学病院らが水素ガス、水素医療機器の薬事承認を目指して組織する「水素ガス治療開発センター」により、現在Phase III臨床試験の準備に向け研究・活動を続けており、日本国内において最も医療承認に向けて進んでいる症例の一つです。

詳しくは、こちらをご参照ください。

かつて先進医療Bだった「水素ガス吸入療法」の今 – 厚生労働省等の公表

※この記事は各種機関が公式に発表している資料を基に配信しております。詳しくは「引用文献」をご参照ください。「水素ガス吸入療法」はご存じの方は多いと思いますが、かつて厚生労働省の先進医療Bに承認されていまし ...

高血圧(血圧改善) × 水素吸入

中国山東省の山東中医薬大学第一臨床医学院等の研究チームが2018～2023年にかけて降圧薬投与を受けている2,000人以上の高血圧患者を対象に「水素吸入」の効果を検証。

明らかに水素吸入を受けた患者の最高・最低血圧値が有意に下がっている結果が報告された事例です。

詳しくは、こちらをご参照ください。

高血圧患者2,364人を対象に水素吸入を検証した結果、高血圧に対する水素の効果とは？

※この記事は各研究機関が公式に発表している論文等のデータを基に配信しております。詳しくは「引用文献」をご参照ください。「高血圧」は、喫煙と並んで日本人の生活習慣病死亡リスクに最も大きく影響する要因であると ...

糖尿病 (2型)× 水素吸入

中国青島大学医学部ら研究チームが2018年～2021年までの間に、すでに糖尿病の標準的な治療を受けた2型糖尿病患者1088名を対象に「水素吸入」の効果を検証。

「6ヵ月間の治療後、糖尿病患者の血糖コントロール、脂質代謝、インスリン抵抗性、およびAE発生率を改善し、既存の糖尿病臨床治療に注目すべき示唆を与えた」とした事例です。

詳しくは、こちらをご参照ください。

【注目研究】水素吸入が糖尿病治療をサポート？ー患者1088名の検証で驚きの結果が

※この記事は各研究機関が公式に発表している論文等のデータを基に配信しております。詳しくは「引用文献」をご参照ください。糖尿病（2型）は、全世界で急速に増加している疾患の一つで、特に食生活やライフスタイルの ...

がん × 水素吸入

中国広東省の済南大学附属福田癌病院や北京大学癌病院らの研究チームが、ステージ3・4のがん患者82名を対象に「水素吸入」の効果を検証。

「水素吸入はがん患者のQOLを向上させ、がんの進行を抑制することができる治療法である」と結論付けた事例です。

詳しくは、こちらをご参照ください。

なぜ「水素」は「がん」に有効なのか

※この記事は各研究機関が公式に発表している論文等のデータを基に配信しております。詳しくは「引用文献」をご参照ください。目次なぜ「水素」と「がん」が注目されたのか水素の抗がん作用が初めての報告されたのは1975年水 ...

皮膚疾患(美容) × 水素水(入浴+湿布)

大阪公立大学田中准教授らにより2022年、5人の被験者（49-66歳）を対象に11～98日間「水素を豊富に含んだ温水（HW）への入浴および湿布」の効果を検証。

「HW入浴とHW湿布を併用することで、しわ、シミ、油分/水分などの皮膚の外観に有益な効果を発揮し、その一部は血液中の抗酸化能力の向上から生じる可能性」と結論づけた事例です。

詳しくは、こちらをご参照ください。

【画像付き】水素の驚愕の美容効果を示した論文を紹介します！（大阪公立大ら研究チーム）

※この記事は各研究機関が公式に発表している論文等のデータを基に配信しております。詳しくは「引用文献」をご参照ください。水素×美容と言えば、「水素水」をはじめ「水素吸入」「水素サプリ」「水素トリートメント」 ...

スポーツ医学(アスリート) × 水素吸入・水素水

今、急速に広がりを見せているのがスポーツ健康科学における水素医療分野です。

実際に、プロの男子ラグビー選手24名を対象とした「水素吸入」の効果検証や、トライアスロン選手12名を対象とした「水素水」の効果検証の論文が公表されており、「アスリートが体のケアを行い、ケガのリスクを低減させるのに理にかなっている」エビデンスが明かされています。

詳しくは、こちらをご参照ください。

水素水・水素吸入の効果をアスリートが検証したエビデンスを紹介 – 酸化ストレス・エネルギー消費量の低減

世界的アスリートである米メジャーの殿堂入りを果たしたイチロー選手やJリーグでも活躍したイニエスタ選手が水素水を利用していたエピソード、無敗の神童と呼ばれた現プロボクサーの那須川天心選手や元大関の朝乃山関が水素吸入で体のケ ...

他にも多くの疾患が検証されている

その他、チェコ共和国における「体重管理や代謝性疾患（糖尿病・脂質異常など）の予防や治療」や名古屋市立大学大学院医学研究科らの研究グループによる「水素ガスは脂肪組織の病態を改善」など、多くの注目すべきヒトへの水素医療研究が進んできています。

詳しくは、水素はうすコラム集「論文の紹介」をご覧ください。

老化の原因？「酸化ストレス」が関与する病気と抗酸化作用のある近年注目の「生活習慣」とは

「酸化ストレス」という言葉を聞いたことがありますか？これは、体内で発生する「活性酸素（フリーラジカル）」が、必要以上に増えすぎた状態を言います。この酸化ストレス、実は私たちの健康にとても深い影響を及ぼしていることが、最 ...

世界における水素医療の承認プロセスの現在地

アメリカ合衆国 →アメリカ食品医薬品局（FDA）

2025年現在、アメリカ食品医薬品局（FDA）による水素医療の承認プロセスは、主に以下の2つの方向で進展しています。

臨床試験の進行[13] … FDAは、心停止後の脳障害（ECPR）患者に対する水素吸入療法の臨床試験に対し、前IND（Investigational New Drug）レビューで好意的な評価。成人健康ボランティアに最大72時間の水素吸入を行い、安全性が確認されています。これらの試験結果が良好であれば、将来的な承認に向けた重要なステップとなる可能性があります。
希少疾患に対するオーファンドラッグ指定[14] … 水素分子を用いた治療法が、筋萎縮性側索硬化症（ALS）の治療に対して、FDAからオーファンドラッグ指定を受けました。この指定は、希少疾患に対する治療法の開発を促進するためのもので、開発の加速や税制上の優遇措置などが提供されます。