水素吸入はアレルギーに効果があるのか? – 抗アレルギー効果を調査した論文の報告
2024年11月8日
※この記事は各研究機関が公式に発表している論文等のデータを基に配信しております。詳しくは「引用文献」をご参照ください。
水素はうすで水素吸入器を購入いただいたお客様の声に、このような声[1]がありました。
「アトピー性皮膚炎で定期的にステロイドの軟膏を使っていましたが水素吸引を開始後は、ほとんど薬を使用していません。かゆみがゼロになったというわけではありませんが、薬を使用しなくても良いレベルで抑えられています。」
水素の健康に関する論文は、なんと既に2,000報以上公表[2]されておりますが、そんな中で、水素吸入による抗アレルギー作用を調査した論文があります。
今回は、水素×抗アレルギーに関する論文の報告をご紹介したいと思います。
水素吸入×抗アレルギー
アレルギーとは?
日本アレルギー学会によると、アレルギーとは下記のように認識されています。[3]
アレルギーとは、「免疫学的な機序によって体に症状が引き起こされる」ことを指します。
私たちの体には「免疫」という病気を引き起こす異物(例えば、ウイルスや細菌など)から体を守る仕組みがあります。この仕組みが、ある特定の異物(ダニやスギ花粉、食物など)に対して免疫が過剰に反応して、体に症状が引き起こされることを「アレルギー反応」といいます。
アレルギー性鼻炎
今回ご紹介する論文では、アレルギー性鼻炎を発症しているマウスモデルを、①そのまま②水素吸入させた③ヘリウムガス吸入させた、の3パターンにおける比較調査を行っています。
アレルギー性鼻炎は、主に空気中に浮遊する花粉やハウスダストなどの原因物質「アレルゲン」を吸い込むことで、鼻の粘膜から体内に入り発症するアレルギー反応で、「IgE抗体」という免疫物質が関与しています。
IgE抗体は、血液や皮膚、腸などに存在するマスト細胞という細胞に結合します。
ここにアレルゲンが結合すると、アレルギーを引き起こす化学物質(ヒスタミンやロイコトリエンなど)が細胞から放出され、体にじんましんなどの症状が引き起こされます。
水素吸入がアレルギーにどう関連するか
酸化ストレスは、喘息やアレルギー性鼻炎などのアレルギー性炎症に寄与することが各種論文で報告されています。[4]
水素はうすコラムでも、他の記事で多く取り上げておりますが、水素吸入は酸化ストレスに関連する多くの疾患に有益な効果をもたらす結果を示す論文が多く報告されています。[5]
今回のアレルギー反応は、この酸化ストレスを原因とするところに水素が関連すると、のちにご紹介する論文にも報告されています。
今回のケースでは、高い水素濃度に保たれた(約40%H2・21%O2・39%N2)ゲージ内に7日間連続で毎日4時間、水素吸入をさせています。
水素吸入によってアレルギー性鼻炎に有益な効果
臨床医学と実験医学に関する国際学術誌ETMに掲載された論文
生物学、遺伝子治療、感染症、微生物学などに関する臨床医学と実験医学に関する研究論文を掲載する国際学術誌である『Experimental and Therapeutic Medicine(ETM)』に2018年に報告された論文「Beneficial effects of hydrogen gas inhalation on a murine model of allergic rhinitis(アレルギー性鼻炎のマウスモデルにおける水素ガス吸入の有益な効果)」[6]では、下記のような結果が報告されました。
水素吸入が鼻のアレルギー症状を緩和する
図2. マウスにおける最後のオボアルブミン投与後 10 分以内のくしゃみと鼻を掻く頻度。データは平均値 ± 平均値の標準誤差として示されています。 * 対照群、対照 + H2 群、対照 + He 群に対して P<0.001。# AR 群に対して P<0.05。H2、水素ガス、He、ヘリウムガス、AR、アレルギー性鼻炎。
これは、オボアルブミンという成分を投与しアレルギー症状を誘発して、10分間にしたくしゃみの回数と鼻を描く頻度を測定し、どのような変化があったかを比較したデータです。
白帯が「くしゃみの回数」で黒帯が「花を描く頻度」、また、ARと書かれているのがアレルギー性鼻炎を発症しているモデルです。
図からわかることは、「AR+H2」(水素吸入したアレルギー性鼻炎を発症しているモデル)が「AR」(アレルギー性鼻炎を発症しているモデルそのもの)と比較して、アレルギーを発症していないモデルに近い数値に近づき、低減していることが確認されます。
H2吸入は鼻粘膜のアレルギー性炎症を抑制する
図3. 鼻粘膜の炎症に対する水素吸入の影響。ヘマトキシリン・エオジン染色後の鼻組織の代表切片(原倍率400倍)。(A)対照群。(B)AR群。(C)コントロール+H2群。(D)AR+H2群。(E)コントロール+He群。(F)AR+He群。黄色矢印は好酸球、黒矢印はリンパ球を示す。H2、水素ガス;He、ヘリウムガス;AR、アレルギー性鼻炎。
AR群では繊毛上皮が損傷し、不連続であった(図3B)。
粘膜下層にはリンパ球や好酸球を含む多数の炎症細胞が観察された。
AR+H2群では、AR群と比較して粘膜および粘膜下層への炎症細胞の浸潤上昇が抑制され(図3D)、粘膜の完全性は保護された。
これらの結果は、水素吸入前処置が鼻粘膜の炎症性傷害を軽減できることを示している、と報告されています。
まとめ
今回はあくまでマウス実験による効果検証が行われたという結果
今回は、マウスモデルによる検証の結果であることは前提としなければなりません。
それでも、論文には下記のような結論が報告されています。
「水素吸入は粘膜への炎症細胞の浸潤を減少させ、血清中のインターロイキン(IL)-5、IL-13および単球走化性蛋白質-1のレベルを低下させた。
水素吸入はインターフェロン-γレベルをわずかに上昇させたが、その差は統計学的に有意ではなかった。
水素吸入は健常マウスの体重増加を抑制し、ARマウスでは体重減少を逆転させた。
さらに、水素吸入はARに対して用量依存的に治療効果を誘導した。
今回の結果は、水素がアレルギー疾患に対する治療効果を示す可能性を示している。」
ではなぜ水素は人体での臨床に進まないのか
水素はうすで度々ご紹介する、東京歯科大学市川総合病院救急科の医師であり、慶應義塾大学水素ガス治療開発センターの教授である鈴木昌医師の論文[7]にはこのような記述があります。
「創薬のプロセスでは,水素吸入療法は Devil river(魔の川)に溺れることなく臨床応用可能であることが示されたが、これを治療法として確立するためには、エビデンスレベルの高い臨床試験や治験が求められることになる。
ここに至るには、資金やリソース不足のために臨床試験を行うことができなくなるという Death valley(死の谷)が横たわる。
創薬のための臨床試験や治験は近年、その規制が強まり、ますますハードルが高くなっており、資金を含めた資源の乏しいアカデミアの研究者にとっては、まさに水を持たずに砂漠に立たされた状態になる。」
このように、皮肉交じりに水素が療法として認証されるのに進みづらい現実について説いています。
水素は理想的な医薬品になるはずである
鈴木医師の論文はさらにこう続いています。
「分子状水素は無色透明無味無臭で刺激性がないので、投与する場合、患者に何ら負担を強いるものではない。また、無害であると考えられ、よく拡散するので、細胞膜を容易に超えて病態の核心的な中枢部分にまで到達することが予想される。
したがって、理想的な医薬品になるはずである。分子状水素が臨床応用されるためには、まだまだ大きな障壁があり、Darwinian sea に溺れることもありうる。
しかし、水素医学に触れたほとんどの研究者はその驚くべき効果の虜となり、夢のような大きな将来像を抱く。立場を超えて多くの医療関係者、薬学関係者が力を合わせてこの夢のような医薬品の上市がかなうようになることを期待している。」
引用文献・関連記事
[1] 匿名様 / VH-120使用後のご感想 [2] 水素の健康増進に関する論文をわかりやすく紹介します! [3] アレルギーについて | アレルギーとは – アレルギーポータル [4] Sim CS, Lee JH, Kim SH, Han MW, Kim Y, Oh I, Yun SC, Lee JC. Oxidative stress in schoolchildren with allergic rhinitis: Propensity score matching case-control study. Ann Allergy Asthma Immunol. 2015;115:391–395. doi: 10.1016/j.anai.2015.07.022. [5] 水素吸入器をおすすめする理由~体のメカニズムに合わせた水素摂取の考え方 [6] S. Fang et al. Beneficial effects of hydrogen gas inhalation on a murine model of allergic rhinitis. Exp Ther Med. 2018 Oct 19;16(6):5178–5184 [7] 水素ガス吸入療法の可能性 Medical Gases, 22 (1): 14-18この記事に関連する#ハッシュタグ
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