『「水素水」はただの水?』と言われた真意 – 水素を悪戯にあおるのはもうやめよう!

2024年11月1日

2017年1月23日の産経新聞の記事にこういった記事が掲載されました。

『「水素水」はただの水!? 国民生活センターが衝撃調査 メーカー側に反論聞いてみたら…』[1]

 

これだけ見ると、水素水はただの水だったんだ…、といった印象を持たれる方がいらっしゃると思います。

ですが、この記事の真意はそこにはありません。

 

最近、水素の健康に関する記事をインターネット上で検索すると、効果なし、嘘、などといった心無い表現が付きまといます。

ですので、水素水と聞くと、ネガティブなイメージを持たれている方が少なくありません。

 

今回は、記事のタイトルの真意を正しくお伝えさせていただくことと、医療・研究の場における「水素の認識」についてお伝えしていきたいと思います。

 

 

「水素水」はただの水!?とは

容器入り及び生成器で作る、飲む「水素水」-「水素水」には公的な定義等はなく、溶存水素濃度は様々です-[2]

産経新聞の報道した記事のはじめに「ブームが続く「水素水」について、国民生活センターが実施した調査が話題を呼んでいる。」とあります。

その出所である、2016年12月15日に国民生活センターが公表した報告書が『容器入り及び生成器で作る、飲む「水素水」-「水素水」には公的な定義等はなく、溶存水素濃度は様々です-』[2]です。

 

そこで行われた内容は「飲用水として販売されている水素水10銘柄と、飲用の水素水を作るという水素水生成器9銘柄、計19銘柄について、表示・広告、溶存水素濃度を調べる」です。

 

そしてその結果が以下です。

 

ペットボトルの2銘柄では溶存水素(水素ガス)は検出されませんでした[2]

同報告書には、「開封時の溶存水素濃度を測定したところ、容器入りのパッケージの溶存水素濃度表示に、充填時や出荷時と記載のあった5銘柄のうち3銘柄で、表示値より測定値の方が低い濃度でした。また、パッケージに表示のない3銘柄のうち、ペットボトルの2銘柄では溶存水素(水素ガス)は検出されませんでした。」と検証結果が記されています。

 

そして、その報告に基づき、産経新聞の記事には「「飲用水素水」の調査では、開封時、水素ガスが検出されなかったのは2銘柄。パッケージに表示された充填(じゅうてん)時や出荷時の水素濃度より、実際の測定値の方が低かったのは3銘柄あった。 こうした結果に…」とあり、

 

ここが、『「水素水」はただの水!?』というタイトルになったということです。

 

「水素水」はただの水!?とは

「水素水」はただの水!?とは、

水素水は水素が含まれているだけのただの水ではなく、調べた水素水は水素が含まれていないただの水があった、という意味なのです。

 

こうして、いたずらに先入観がはたらき、水素水があたかもただの水といった評価を受けたような印象の記事が独り歩きしているのが現状です。

ここで、医療・研究の場における、水素を研究する権威の正しい水素に関する認識についてご紹介します。

 

水素は理想的な医薬品になるはずである

水素ガス吸入療法の可能性 Medical Gases, 22 (1): 14-18

東京歯科大学市川総合病院救急科の医師であり、慶應義塾大学水素ガス治療開発センターの教授である鈴木 昌 氏の『水素ガス吸入療法の可能性 Medical Gases, 22 (1): 14-18』[3]には、このような記述があります。

 

「分子状水素は無色透明無味無臭で刺激性がないので、投与する場合、患者に何ら負担を強いるものではない。また、無害であると考えられ、よく拡散するので、細胞膜を容易に超えて病態の核心的な中枢部分にまで到達することが予想される。

したがって、理想的な医薬品になるはずである。分子状水素が臨床応用されるためには、まだまだ大きな障壁があり、Darwinian sea に溺れることもありうる。

しかし、水素医学に触れたほとんどの研究者はその驚くべき効果の虜となり、夢のような大きな将来像を抱く。立場を超えて多くの医療関係者、薬学関係者が力を合わせてこの夢のような医薬品の上市がかなうようになることを期待している。」

 

水素の健康に関する論文は2,000報以上

 

水素の健康に関する論文は2,000報以上発表されています。医療や研究の世界で「水素」がどのように見られ、見解が発表されているかに関しては、水素はうすチャンネルにて動画解説しております。

 

同チャンネル内では、水素吸入器で生成した水素水の溶存水素濃度を検証した動画や、おすすめの水素吸入器など解説しておりますので、ぜひこの機会にご覧ください。

 

ではなぜそんな「水素」は広がらないのか?

鈴木昌医師の論文にはこのような記述もあります。

 

「創薬のプロセスでは,水素吸入療法は Devil river(魔の川)に溺れることなく臨床応用可能であることが示されたが、これを治療法として確立するためには、エビデンスレベルの高い臨床試験や治験が求められることになる。

ここに至るには、資金やリソース不足のために臨床試験を行うことができなくなるという Death valley(死の谷)が横たわる。

創薬のための臨床試験や治験は近年、その規制が強まり、ますますハードルが高くなっており、資金を含めた資源の乏しいアカデミアの研究者にとっては、まさに水を持たずに砂漠に立たされた状態になる。」

 

このように、皮肉交じりに水素が療法として認証されるのに進みづらい現実について説いています。

 

まとめ

「水素水」はただの水!?といった悪戯にあおる表現による信頼されるメディアからの情報発出によって、面白おかしく、情報拡散力もあるため、水素水があたかもただの水といった評価を受けたような印象の記事が独り歩きしているのが現状です。

ですが、医療や研究の場では、そんな世間の風潮的な印象とは全く異なり、多くの論文により水素への期待について語られ、「水素は理想的な医薬品になるはずである」と言わしめているのが本当の姿です。

 

ただし、国民生活センターから公表されていることも真実です。

販売メーカー側にも責任があり、医療・研究者が日々追及する「水素」に対する期待を軽んじ、妨げるような行為をすることは断じて許されません。

 

まだ水素はその研究の性質上の課題があり、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品として許可、届出されるに至ったものはございません。

商品や製品を閲覧される際は、しっかり検証されたものであったり、公的・第三者による論評・論文に基づくなど、十分に検証されご利用されることをお願い申し上げます。

 

引用文献

[1] 「水素水」はただの水!? 国民生活センターが衝撃調査 メーカー側に反論聞いてみたら…(産経新聞)

[2] 容器入り及び生成器で作る、飲む「水素水」-「水素水」には公的な定義等はなく、溶存水素濃度は様々です-(国民生活センター)

[3] 水素ガス吸入療法の可能性 Medical Gases, 22 (1): 14-18

 

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